鈴鹿峠にさしかかる 滋賀県甲賀市土山町。昔より伝わる「大蟹伝説」を語継ぐのが、この「かにが坂飴」です。
その昔、鈴鹿山に大きな蟹が住みつき 東海道を行き来する旅人や、付近の村人に危害を加えていました。その噂を聞きつけた高層が この地を通りかかった際に 大蟹相手に説法を説いた。すると大蟹の甲羅(こうら)が八つに割れて溶けてしまったそうです。
高層は 割れた大蟹の甲羅をあつめて 手厚く葬り、溶けた大蟹を竹の皮に包んで
厄除けのお守りとして村人に授けたそうです。 その流れを汲んで厄除けの飴が 現在に至るまで伝承されています 。
畳目模様で琥珀色をした かにが坂飴は、八割飴協同組合が製造販売しておられましたが、現在では甲賀市土山町で 高岡冨美子さん宅のみとなってしまいました。
すべて手作業で一貫して作られる 「かにが坂飴」 は、麦芽水あめを原材料として 薪で火をおこし、釜土で煮つめた鍋を 火鉢に移し変えて20cmほどの木の道具ですくい上げ、御座の上に張り付けます。
少し時間をおき固まりかけた 「かにが坂飴」を専用ゴテで伸ばし、直径3cmほどの丸い形に成型していきます。
成型され固まった飴は 8個づつ竹の皮で包装されていきます。
新縄で3袋を ひと括りにして完成です。
昔の旅人が この飴で疲れを癒したと言う 素朴な味が今に生きている逸品です。